鼻柱基部下降（猫手術）

鼻柱の基部が引っ込んでいては鼻が不格好に見えてしまう方に鼻柱基部下降術は最適な手術です。
猫手術とも言われています。

鼻柱基部下降術とは

鼻柱のラインと上口唇のラインのなす角度（鼻柱口唇角）は、90～95°くらいが適正と言われています。
（鼻柱口唇角）
鼻柱口唇角が９０度より鋭角な方は、鼻柱基部が引っ込んでいてお鼻のバランスが悪く見えます。
鼻柱基部下降術は、サイコロ状にした移植軟骨を鼻柱基部に移植することで鼻柱基部を引き出し、鼻柱口唇角を改善する手術です。

鼻柱基部下降の手術は、まず、耳の耳介軟骨を採取してサイコロ状にして準備しておきます。
鼻の穴の中（鼻柱部分)を切開しますので傷は外に出ません。
切開線から鼻柱基部の皮下にアプローチし、剥離してスペースを作った後に、サイコロ状の移植軟骨を挿入します。

具体的に手術前後の鼻柱基部の変化の画像を見ていただきます。
矢印部分の鼻柱基部を引き出します。 こんな感じで、矢印の引っ込んが鼻柱基部が、術直後から移植軟骨でしっかり引き出されます。

軟骨は耳の耳介軟骨を採取します。
採取する軟骨は、耳珠軟骨のこともありますし、耳の裏を切開して耳介のパラボラの部分をくりぬくこともあります。
傷はほとんど見えず、耳の形には影響もありません。

軟骨を採取したら下の画像のように軟骨を重ねてサイコロ状にします。
サイコロ状にしたら鼻柱基部にスペースを作って移植軟骨を挿入します。
軟骨がずれないように移植軟骨にあらかじめ糸を通して置き、プルアウト固定と言って糸を皮膚側に引き出して固定して終了します。
鼻の穴の切開部分は吸収糸で縫います。

鼻柱基部下降の横からの手術前後の変化も見ていただきます。

引っ込んでいた鼻柱の基部が引き出されましたね。
鼻柱口唇角が術前は鋭角でしたが、術後では９０°かそれ以上に開いたのがわかります。
バランスが良くなりましたね。

術後はプルアウトの糸を鼻の下部に茶色のテープで止めておきます。
５日後くらいにプルアウト固定の糸を抜糸して、傷の抜糸も行いますのでダウンタイムは１週間ほど見ていただくと良いです。

鼻先全体や人中にも良い効果が出ます

鼻柱基部下降術では、鼻柱基部を引き出すことで鼻柱・口唇角を開いて横から見た鼻の形を整えますが、
それ以外にも鼻全体の印象や人中に良い効果を及ぼします。

①ACRを整えることができる

ACRというのはalar-columellar relationshipsの略で、小鼻と鼻柱の関係のことです。
鼻が整っているかを見る指標の一つです。
小鼻に対して鼻柱が下向きだと整った美しい鼻先になります。
ただし、下向きすぎると矢印鼻や老けた感じの鼻になってしまいますので、ある程度下向きが良いとされています。
鼻柱基部が引っ込んでいる人の場合は、鼻柱全体が引っ込んでいることが多く、ACRは上向きのことが多いです（左図）。
ACRが上向きの場合は不格好に見えてしまいます。
そこで、鼻柱基部下降をおこなうことで鼻柱が下方に伸びてきますのでＡＣＲを改善させることができます。
ＡＣＲが改善されれば当然鼻全体の印象が良くなります。
鼻柱基部下降術は引っ込んだ鼻柱の基部を引き出すことで、正面からの鼻の印象も改善させてくれるのです。

②人中の長さも短くなります

鼻柱基部下降術は、鼻柱の基部を引き出すことで、人中の長さが少し短く見えるという効果もあります。
人中の長さは、通常、鼻柱の基部から唇の真ん中までの距離を言いますので、鼻柱基部が下がってくれば人中の長さが短くなるのは当然と言えば当然です。

③口のこんもり感も改善することができます

鼻柱基部が後退していると人中が間延びしますので、もともと口がこんもりしている人はこんもり感（口ゴボ感、口の突出感）が強調されてしまいます。
鼻柱基部下降術では、鼻柱基部を下げることで鼻柱口唇角を改善させることができるので、口のこんもり感が目立ちにくくなります。（個人差はあります）

☆人中短縮術でも鼻柱基部を下げることが可能です☆

人中短縮（リップリフト）でも鼻柱口唇角は改善します。
人中短縮術は鼻の下を切開して人中を短くする手術ですが、その際に鼻柱基部を剥離することで鼻柱基部を下げることができます。
人中が長い人で鼻柱基部が引っ込んでいる（後退している）方の場合は、人中短縮術も選択肢になります。
（症例）
この症例の方のように人中短縮術で人中が短くなって、鼻柱基部も下がってくれると、口のこんもり感もかなり目立ちにくくなります。
人中短縮術については以下のページもご参考ください。

症例写真で解説

具体的に症例写真を見た方がわかりやすいと思いますので症例写真で解説します。

【鼻柱基部下降の症例写真】
（手術前）⇒（半年後）

鼻柱基部下降術で鼻柱基部が下がったのが分かるかと思います。
小鼻より鼻柱が上にある状態（ACRが上向き）だったのが、鼻柱基部に軟骨を入れて下げたことで、ACRは下向きまではいきませんが、まっすぐになって鼻が整って見えるようになりましたね。
この方は小鼻縮小と鼻尖縮小も同時にしていますので鼻が全体に小さくなっています。
今度は人中に注目すると鼻柱基部が下がったことで、人中の長さも短くなりましたね。
人中が短くなることで、顔全体のバランスも良い影響が出たのではないかと思います。

次は斜めからの変化も見てもらいます。

斜めからも引っ込んでいた鼻柱基部が引き出されたのがわかりますね。
ACRが改善したことで鼻先の形がバランスよくなったのもわかります。
また、人中が短くなったのわかります。
全体に違和感の少ない自然な鼻に近づいたのではないでしょうか。

まとめ

鼻柱基部下降術は、鼻柱基部に小さな軟骨のサイコロを入れるだけの単純な手術です。
小さな変化ではありますが、鼻柱基部自体の引き込みを改善することで、横からや正面からの鼻のバランスを整えてくれます。
また、同時に人中の長さも短く改善してくれます。
鼻柱基部下降術では見えるところに傷はつきませんし、割と手軽に手術が可能ですので、鼻柱基部が引っ込んでいる方にはお勧めの施術になります。
自分が適しているかわからないという方は、ぜひ無料カウンセリングを利用してご相談いただければと思います。