【鼻整形】鼻先の整形は鼻中隔延長と鼻尖形成のどちらを受けるべき?
作成日:2024.5.20
目次
鼻中隔延長と鼻尖形成の違い
鼻尖形成は一般的に鼻尖縮小と耳介軟骨移植を組み合わせたものなので、これからは鼻尖形成のことは耳介軟骨移植としてお話しします。
簡単に言うと、
鼻中隔延長はややリスクを取って鼻先にしっかり高さを出す手術で、
耳介軟骨移植はリスクを少なくして自然な感じで高さを出していく手術、
と思っていただくと良いです。
なので、鼻先をある程度のリスクをご理解して上でしっかり高くしたい・しっかり伸ばしたいという方には鼻中隔延長がおすすめで、あまりリスクを取らず自然な感じで高くしたい・伸ばしたいという方には耳介軟骨移植がおすすめです。
具体的な効果
それぞれの手術の効果のイメージとしては、耳介軟骨移植が1,2㎜高さを出すのに対して、鼻中隔延長は3,4㎜、もしくはそれ以上しっかり高さを出すことができる手術になります。
何ミリと言ってもなかなか想像はつきにくいかもしれませんが、お顔の1,2㎜の変化は、劇的ではないにせよそこそこの変化になります。
後ほどそれぞれの症例写真を見ていただきますので、そちらの画像で変化のイメージをご確認ください。
それぞれのリスク
鼻中隔延長、耳介軟骨移植のそれぞれのリスクについて説明します。
鼻中隔延長の方が耳介軟骨移植に比べてリスクとしては多くなります。
鼻中隔延長のリスク
鼻先が硬くなる
鼻中隔延長のリスクは、鼻先を固定して伸ばすため、鼻先が固定されて硬くなります。
鼻先が固定されることで違和感が出たり、笑うと矢印鼻が強調されてしまう可能性があります。
曲がるリスク
鼻中隔延長の場合、鼻先が固定されているので力の逃げ場がなく、後戻りと共に鼻先が曲がってくるリスクがあります。
もともと鼻中隔が曲がっている方も多く、土台が曲がっていると鼻先はさらに曲がりやすくなる可能性があります。
曲がった場合は、再手術が必要になってきます。
鼻中隔延長はある程度の確率で再手術が必要になる手術です。
鼻の通りが悪くなるリスク
鼻閉と言って鼻の通りが悪くなるリスクがあります。
これは、鼻中隔を延長する軟骨が鼻腔側に突出して鼻の通りが悪くなってしまったり、後戻りと共に鼻中隔が傾いてしまうことで鼻の通りが悪くなるリスクがあります。
鼻柱に傷が残るリスク
鼻中隔延長はオープン法でおいこなうため、鼻の穴だけでなく鼻柱を横断して切開します。
基本的に傷は目立たないことが多いですが、鼻柱は表に見える部分ですので、傷の段差などが目立ったりすることがあります。
感染のリスク
鼻中隔延長では、広範囲に剥離したり操作を加えたり、手術時間が長引くことで、感染のリスクが耳介軟骨移植などと比べるとあります。
感染した場合は、移植した軟骨を取り除いた入りする必要が出てきます。
耳介軟骨移植(鼻尖形成)のリスク
次は耳介軟骨移植のリスクです。
軟骨の形が浮いてくるリスク
耳介軟骨は鼻翼軟骨という鼻先の軟骨に耳の軟骨を載せて厚みを出す手術ですので、あまり角のはっきりした厚みのある軟骨を載せると、長期的に鼻先の皮膚が薄くなって形がうっすら見えてくるリスクがあります。
当院では、移植軟骨の角を落として滑らかにして、クラッシャーで軟骨を柔らかくし、無理に何枚も重ねないことで軟骨の形が浮かないようにしています。
後戻りのリスク
鼻中隔延長でも耳介軟骨移植でも後戻りのリスクはある程度あります。
特に耳介軟骨移植は硬い組織に固定しているわけではないので後戻りのリスクがあります。
当院では後戻りを減らすように、鼻翼軟骨の内側脚に耳の軟骨を下降したストラット(支柱)を立てれることで高さを保ちやすく、後戻りを少なくするようにしたりしています。
感染のリスク
耳介軟骨移植も手術ですので感染を起こす可能性がありえます。
ただ、とてもまれなことです。
以上が耳介軟骨移植のリスクでした。
耳介軟骨移植では鼻中隔延長に比べてリスクは少なくなります。
高さを出す方向や位置は変えられる
ちなみに、耳介軟骨移植も鼻中隔延長も、鼻先を前方(正面)に高くすることもできますし、下方向に伸ばすこともできます。
もちろんそれらを同時におこなって高さも出しつつ伸ばすこともできます。
耳介軟骨移植では移植軟骨を載せる位置を変え、鼻中隔延長では、鼻翼軟骨を固定する位置を変えることで、鼻先を伸ばす方向をコントロールすることができるからです。
どの方向に伸ばすかは、その方のお鼻やご希望に合わせて調整していきます。
鼻先が低い人は前方方向メインに、鼻先が上を向いた豚鼻の人は下方向メインに伸ばして改善させます。
また、鼻先だけでなく、鼻柱や鼻柱基部についても、耳介軟骨や鼻中隔延長で伸ばすことができます。
耳介軟骨移植では鼻柱に軟骨を載せたり、鼻柱基部下降術をおこなうことで鼻柱を伸ばすことができます。します。
鼻中隔延長では、鼻柱にある鼻翼軟骨の内側脚を延長した軟骨に固定することで伸ばします。
鼻柱や鼻柱基部は引っ込んでいる方も多く、それらが伸ばされることで、鼻柱と小鼻の関係(ACR)は下向きとなり鼻の形は整います。
鼻中隔延長について
それでは、それぞれの手術について解説しますが、まず鼻中隔延長について解説します。
鼻中隔軟骨は左右の鼻の穴の間を仕切る壁の部分の軟骨で、この鼻のイラストの真ん中部分に垂直に立っている板状の軟骨です。
鼻中隔延長では、この鼻中隔軟骨に、耳の軟骨とか、鼻中隔軟骨をくりぬいたものや肋骨の軟骨を固定して鼻中隔を延長します。
鼻中隔延長のイメージ画像を見てください。
この画像ではくりぬいた鼻中隔軟骨を鼻中隔に固定して延長しています。
そして、鼻翼軟骨を引き延ばして延長した鼻中隔に固定します。
そうすることで鼻先に高さを出したり、伸ばしたりすることができるようになります。
先ほど書いたように伸ばす方向は自由に変えられます。
ちなみに、鼻中隔軟骨をくりぬくと土台が弱くなって曲がってしまう可能性が出てくるので、最近では鼻中隔をくりぬかずに、耳介軟骨や肋軟骨などを使って延長することが多いです。
鼻中隔延長について詳しく以下のページをご参考ください。
鼻中隔延長のメリット・デメリット
次に、鼻中隔延長のメリット・デメリットを挙げます。
鼻中隔延長のメリット
◎鼻中隔延長は、固定された鼻中隔を延長して鼻先を高くするので、鼻翼軟骨をしっかり固定することができ、鼻先を最も高くできる手術です。
鼻中隔延長のデメリット
鼻中隔延長のデメリットは上記のリスクとかぶる部分でもありますが、以下に挙げます。
●鼻先が固定され硬くなる。
●表情で違和感(笑うと矢印鼻が目立つ)
●鼻先が曲がってくるリスク
●鼻閉と言って鼻の通りが悪くなるリスク
●オープン法なので表に傷ができる(目立つ傷ではありません)
●侵襲(ダメージ)は大きめ
鼻中隔延長の症例写真
鼻中隔延長のイメージがわかりやすいように、2人の方の症例写真を見てもらいましょう。
鼻中隔延長の症例①
一人目の方です。
(手術前)⇒(手術後)
正面から見ると、鼻先は上を向いていて豚鼻です。鼻の穴も目立っていますね。
豚鼻をしっかり改善したいということで、鼻中隔延長をおこないました。
術後の画像の正面像を見ていただくと、術前の豚鼻が改善して目立っていた鼻の穴も見えにくくなりました。
鼻先が下を見いてACR(小鼻と鼻柱の関係)も下向きになってバランスが良くなりました。
側面像では、アップノーズだった鼻先がしっかり斜め下方に延長したのが分かると思います。
鼻先が鼻中隔延長でしっかり伸びたのが分かると思います。
鼻中隔延長の症例②
次は2人目の方も見てもらいましょう。
(手術前)⇒(手術後)
2人目の方は横から見ると、鼻先の高さは低く、相対的に鼻背の軟骨や鼻骨が張り出してハンプが目立ったように見えてわし鼻に見えいます。
鼻先の高さがかなり弱いので、ハンプを目立ちにくくさせる意味でも鼻中隔延長で鼻先にしっかり高さを出しました。
術後は鼻先に高さがしっかり出たのがわかります。
この方は鼻根を高くするためにプロテーゼも入れていますので、鼻先と鼻根にしっかり高さが出たことで、ハンプに見えた鼻背のラインもまっすぐに近くなり目立ちにくくなりました。
このように、鼻先にしっかり高さを出したい方では鼻中隔延長が有利です。
ちなみに、この方は小鼻縮小もおこなっているため小鼻も小さくなり、正面から見て鼻先がよりすっきりしています。
耳介軟骨移植(鼻尖形成)について
次は耳介軟骨移植(鼻尖形成)について解説します。
耳介軟骨移植は、イラストのように鼻先の鼻翼軟骨の上に耳から採取した軟骨を載せることで鼻先を高くしたり伸ばしたりする手術です。
無理やり持ち上げるというより、鼻翼軟骨に厚みを出してラインを整えるという施術ですので、鼻翼軟骨は固定されずよく動きますし、曲がってくるリスクもありません。
ただし、軟骨移植単体でおこなった場合は、鼻先にポケットを作って耳介軟骨を入れるだけですので、移植した軟骨がずれるリスクはあります。
耳介軟骨移植だけでは鼻先のボリュームが増えて団子鼻も強調されてしまいますので、基本的に耳介軟骨移植は鼻尖縮小も同時におこなって鼻先も細くすることがほとんどです。(一部のクリニックでは軟骨移植だけする先生もいらっしゃいますが、鼻が大きくなったから修正してほしいと相談に来られる方は多いです)
鼻尖縮小と耳介軟骨移植を同時におこなうことで、鼻先が細く高くなりますので、よりシュッと整いやすくなります。
また、鼻尖縮小でしっかり両側の鼻翼軟骨を露出させて寄せることで土台をしっかり整えることができるので高さも出やすくなり、鼻先の真ん中に移植軟骨を確実に縫って固定することができるので、左右差のリスクもほとんどなくなります。
なので、鼻尖縮小と軟骨移植を組み合わせて行うことが多く、2つをまとめて鼻尖形成と言う先生もいらっしゃいます。
鼻尖縮小、耳介軟骨移植について詳しくは以下のページをご参考ください。
また、耳介軟骨移植の場合、土台の鼻翼軟骨はよく動くので先端に軟骨を載せても、皮膚の重みに負けて沈み込んでしまい、特に前方方向の高さが出にくかったり、後戻りするリスクがあります。(下方向は高さに比べて伸びやすい傾向があります)
それを防ぐために、下のイラストのように鼻翼軟骨の内側脚(土台の足に当たる部分)に軟骨を挟み込み、柱(ストラット)を立てて沈み込みにくくするのがおすすめです。
そうすることで土台の鼻翼軟骨が沈みにくくなって、鼻先により高さが 出やすくなって、後戻りしにくくなります。
また、ストラットを利用して正面方向に高さを出しやすくすることができます。
耳介軟骨移植で高さをよりしっかり出したい方、後戻りを減らしたい方はストラットを立てることをおすすめします。
耳介軟骨移植のメリット・デメリット
それでは、次に耳介軟骨移植のメリット・デメリットをざっと挙げさせてもらいます。
耳介軟骨移植のメリット
◎鼻先が固定される自然な動きを保つ
◎違和感が少ない
◎鼻の外側に傷を作らずにできる(close法)
◎いかにも整形という感じでなく自然な感じで高さを出すことができる
◎鼻中隔延長に比べてダメージが少なく感染などのリスクが少ない
耳介軟骨移植のデメリット
●鼻中隔延長ほど高さは出せない
●長期的に軟骨の形が浮いている可能性がある
以上が、耳介軟骨移植のメリット・デメリットです。
基本的に耳介軟骨移植はデメリット(リスク)が少なく、自然な効果が期待できる手術と思っていただくと良いです。
鼻尖軟骨移植の症例
それでは耳介軟骨移植もお二人の症例写真を見てもらいましょう。
鼻尖軟骨移植の症例写真①
(手術前)⇒(術後)
一人目の方です。
術前は、横から見ると鼻先が少しフラットになっていて鼻先の高さが弱くなっています。
術後は鼻先に耳介軟骨を移植したことで高さが出て、フラットだった鼻先にお山の頂上ができて整いました。
この方は同時に鼻尖縮小もおこなっています。
正面から見ると鼻先が斜め下に伸びたことで鼻の穴が見えにくくなったのがわかります。
また、鼻尖縮小で鼻先が細くなって、かつ鼻先が斜め下に伸びたことで豚鼻感が減り、鼻先はシュッとしてすっきりとしました。
もし鼻尖縮小をやらなかったら、ボテッとした丸い鼻先になったかと思います。
横から見ると、術前は鼻先部分だけ平坦で低かったのが、軟骨移植をしたことで鼻先に高さが出て整いましたね。
横から見た鼻全体の印象も、つぶれた鼻先の違和感がなくなり、すっきり見えるようになったかと思います。
鼻尖軟骨移植の症例写真②
耳介軟骨移植の2人目の方です。この方も鼻尖縮小と同時に耳介軟骨移植をおこなっています。
(手術前)⇒(術後)
正面から見ると、耳介軟骨移植で鼻先に長さ(厚み)がでましたね。
鼻先に厚みが出たことで、鼻先全体の形が整ったのがわかります。
鼻尖縮小も併せておこなったことで、ボテッとした鼻先が細くすっきりしたかと思います。
次に、側面から見ると、低かった鼻先が斜め下方に延長して、高さが出たのがわかりますね。
鼻先がシュッとしました。
鼻柱に対して鼻先の角度(鼻柱小葉角)が狭くて鼻先のみアップノーズのようになっていましたが、角度が開いてアップノーズ感が改善しました。
鼻先が高くなったことで、正面も側面もお顔にメリハリが出ましたね。
このように、耳介軟骨移植でも効果的に鼻先に高さを出して整えることができます。
結局どの手術を受けるべきか
これまで鼻中隔延長・耳介軟骨移植とお話してきましたが、本題のどんな方がどの手術を受けるべきか、適応について解説したいと思います。
どの手術を受けるべきかは、2つの要素、その方のご希望をその方の鼻の形で決まってくるかと思います。
以下にそれぞれの手術の適応についてまとめます。
鼻中隔延長を受けるべき人
鼻中隔延長を受けるべき人は以下の人です。
・鼻先をしっかり高くしたい、伸ばしたいという方
・上記の鼻中隔延長のリスクやデメリットを理解して受け入れられる方
・かなり鼻先が低い方、アップノーズ(豚鼻)が強い方
鼻中隔延長は、ミドルリスク・ハイリターンの手術というイメージです。
冒頭でも話したように、鼻中隔延長を受けるべき人は、
ある程度のリスクを許容できてしっかり鼻先を高くしたり伸ばしたい方、
になります。
耳介軟骨移植を受けるべき人
・自然な感じで鼻先を高くしたい、伸ばしたいという方
・鼻先の動きを保ってなるべく自然にしたい方
・アップノーズや低さがそれほど強くない方
・鼻中隔延長のリスクが受け入れられない方
・クローズ法でやりたい方
耳介軟骨移植は、ローリスク・ミドルリターンの手術というイメージです。
耳介軟骨を受けるべき人も、冒頭で話した通り
リスクをなるべく減らして自然な効果を出したい方、
になります。
鼻翼軟骨の大きさによってもどの手術を受けるべきかは変わる
鼻尖縮小や耳介軟骨移植では、鼻翼軟骨が大きくてしっかりしている方ほど変化が出やすくなります。
鼻中隔延長も鼻翼軟骨がしっかりしているほど安定して上がりやすくなる傾向はあります。
鼻翼軟骨がしっかりしていると、少し尖らせて寄せるだけでしっかり軟骨全体が変化してくれて、鼻尖縮小の効果が出やすいです。
また、土台が硬くしっかりしているので、移植軟骨の厚みも出やすく、耳介軟骨移植の効果も出やすいです。
なので、鼻翼軟骨が発達している方、鼻先の軟骨がしっかりしていて外から軟骨の形がわかりやすい方では、鼻尖形成でも効果はある程度出やすいと言えます。
逆に鼻翼軟骨が小さく弱い方は高さが出にくくなる傾向があります。
そのような方では鼻中隔延長の方が向いています。
ただ、鼻翼軟骨が小さい人は、鼻中隔軟骨も小さく柔らかいことが多く、鼻中隔延長でも伸びにくい可能性はあります。
鼻翼軟骨が小さい方は、耳介軟骨移植をおこなう際はなるべくストラットを立てて土台を強くしておこなうか、鼻中隔延長でできるだけしっかり伸ばしていくのが良いかと思います。
鼻翼軟骨の大きさもありますが、最終的には、その方のご希望によるところが大きいです。
リスクを取ってしっかり伸ばしたいか、リスクを少なく自然な感じの変化が良いのか選んでいただくのが良いと思います。
まとめ
以上が、耳介軟骨移植と鼻中隔延長のそれぞれの特徴や症例写真、適応についてでした。
耳介軟骨移植も鼻中隔延長もどちらの手術も良い手術なのでどちらが優れているというのはなく、ご本人のご希望によるところが大きいです。
ミドルリスク・ハイリターンの鼻中隔延長か、ローリスク・ミドルリターンの耳介軟骨移植かどちらを希望するかという選択になります。
ただ、鼻翼軟骨がしっかりしている方は、耳介軟骨移植でも上がりやすかったりしますし、逆に鼻翼軟骨が小さく弱い方は鼻中隔延長でしっかり伸ばした方が良い場合もあります。
特に、アップノーズが強い方とか、鼻先の高さがかなり低い方では、しっかり延長できる鼻中隔延長が有利だと思います。
ちなみに、効果は半年になりますが、プチ整形のミスコという選択肢もあります。
まず試しで鼻先に高さを出してみたいという方は手術の前のシュミレーションとしてやっていただくのはありかもしれません。
以上が鼻中隔延長と鼻尖形成のどちらを受けるべきかについての解説でした。
今後の鼻の手術のご参考にしていただければ幸いです。