耳介軟骨移植のギプス固定・ダウンタイムについて
作成日:2024.6.17
耳介軟骨移植とは
耳介軟骨移植は、耳から採取した耳介軟骨を鼻先に移植する手術です。
鼻翼軟骨というのが鼻先の骨格としてありますが、鼻翼軟骨の上に耳介軟骨を加工して載せます。
そうすることで、図のように鼻先に高さを出すことができます。
載せる位置を下方向にすると鼻先を伸ばすことができ、上方向(正面方向)に載せると鼻先を高くすることができます。
軟骨は通常2枚や3枚重ねて載せます。
下方向に載せる場合は盾のような形で載せますので、shieldgraftと呼ばれており、正面方向に載せる場合は帽子のように載せますのでcap graftと呼ばれたりします。
下方向と正面方向に同時に軟骨を載せることも多いです。
耳介軟骨移植は、鼻先に移植するだけではないです。
ストラットと言って鼻柱の鼻翼軟骨の内側脚に軟骨を立てて鼻翼軟骨を補強したり もします。
あとは、鼻の穴がせり上がっている人の鼻孔縁を伸ばしたりとか、鼻柱の根っこが引っ込んでいる人の鼻柱基部を引き出したりとか、 他の手術でもいろいろな形で用いられます。
以下は軟骨移植の施術ページです。軟骨移植について詳しくはこちらも参考にして下さい。
耳のどこから軟骨を採取する?
耳の軟骨は以前の動画でも紹介していますが、図の斜線部分のように耳のくぼみの部分の軟骨を採取します。
図で言うと、耳甲介腔や耳甲介舟とい凹み部分の軟骨とか、耳の穴に出っ張っている耳珠軟骨の耳の穴の壁の部分の軟骨を採取します。
基本的に耳介軟骨はフレームとかでっぱりの部分は残してパラボラの部分だをけ採取しますので見た目の形はあまり変わりません。
耳介軟骨を採取する時は耳の裏側に傷ができます。
耳珠軟骨は図のように側面に沿って切開線ができるのでそこまで目立ちません。
なので、外見上軟骨を採取したことは分からないです。
手術後の固定
術後の耳の固定
さて、本題の耳のギプス固定についてこれから説明しています。
軟骨を採取した部分には、空間ができるので、そこに血液がたまったりしないように、ボルスター固定と言って軟膏で湿らせたガーゼを表と裏から圧迫して糸でしばって固定します。
術後、耳には画像のようにこのようにテープ固定がつきます。
ギプスがついている間は、髪を下ろしたりして隠していただくと良いかと思います
通常5日後に鼻のギプス固定をはずしますが、同時に 耳のギプスも一緒にはずし、抜糸します。
ギプスを外した際は、耳の下のあたりに黄色や緑色の内出血 がうっすら出ていたりしますが、1,2週間で消えてきます。
固定についてや傷についてはこちらのコラムでも解説しているので是非参考にして下さい。
鼻のギプス固定
次に、鼻のギプス固定について話します。
鼻尖縮小や軟骨移植、プロテーゼなどの鼻の手術の際も、皮下の空間に、血液などたがまらないようにギプス固定をおこないます。
ちなみに、鼻柱基部下降や小鼻縮小などの場合ではギプス固定はしません。
あくまで鼻先や鼻背とか鼻根部分の手術の場合にギプスを付けます
鼻のギプス固定のやり方としてはまずは、茶テープを重ねて貼り、圧迫するように手術部位に貼ります。
その後に、お湯で熱すると柔らかくなるアクアプラストというプラスチックのような板をお湯で柔らかくしておきます。
柔らかくなったアクアプラストを重ねて貼ったテープの上に載せて形を整えながら冷ますことで固めます。
さらにその上からアクアプラストがずれないようにテープ固定で仕上げます。
鼻先の鼻尖縮小や軟骨移植と言った手術のみであれば、ギプス固定は、鼻背から鼻先にかけてつきます。
イメージとしては鼻の下半分中心につく感じです。
この場合はギプス固定は鼻の下半分なのでマスクをしっかり引き上げてギリギリ隠せるような感じです。
この時、ホホの外側のテープの部分はマスクから出て見えてしますので見える部分をカットしていただいて大丈夫です。
次にプロテーゼを入れた場合のギプス固定について話します。
プロテーゼの場合は、眉間あたりから鼻先まで鼻全体にギプス固定がつきます。
イメージはこの画像の感じですが、 この画像は、アクアプラストではなく、デンバースプリントというアルミの板で固定しているので少しアクアプラストとは違いますが、だいたい同じ感じと思っていただいて良いです。
プロテーゼの手術をした場合は、鼻先だけとは違って、鼻根から眉間付近までしっかり圧迫する必要がありますので、ギプスは眉間から鼻先まで全体に固定することになります。
なので、マスクをしてもギプスは、はみ出して見えてしまう状態になります。
マスクをして帽子をかぶると目立ちにくいです。
以上が耳介軟骨移植をした際の耳と鼻先のギプス固定についてでした。
ダウンタイムについて
次にダウンタイムについて解説します。
耳も鼻もギプス固定は手術の翌日を1日目とすると最短で5日目に外すことが出来ます。
なので、手術日も含めると6日間ギプスがつくことになります。 その際に鼻や耳の糸の抜糸も同時におこないます。
鼻先は腫れや内出血が目立ちにくい部分ですので、ダウンタイムはギプスを外すまでの1週間で通常見てもらっています。
ただ、耳については、1週間後は、軟骨を採取した部分や、耳の下の首のあたりに薄黄色く内出血が出ていることも多く、髪を下ろしたり、首元を隠す服装や、メイクでカバーしていただく必要があるかもしれません。
内出血はさらに1,2週間で消えていきます。
それから、プロテーゼをした場合ですが、プロテーゼを入れる際に鼻根部の骨膜下を剥離します。
鼻根部は皮膚が薄いため、腫れや内出血が鼻先に比べて目立ちやすい部分です。
そのため、1週間目だとまだ鼻根部が腫れていて鼻筋が太くなっていたり、鼻根や目周りが内出血で黄色みがかっていたり、腫れていることも多いです。
なのでプロテーゼのダウンタイムは最短で1週間ですが、できればもう少し長く余裕をもって2週間ほど見ていただいた方が良いかもしれません。
あくまで固定や内出血が引く時間ではあるためダウンタイムについては2週間ほどとお伝えはしていますが、半年程は完成に時間がかかるため手術後の腫れや傷について経過をみて頂いています。
まとめ
以上が耳介軟骨の際のギプス固定やダウンタイムについてでした。
どんな感じかお分かりいただけましたでしょうか。
基本的に耳や鼻のギプス固定は茶色いテープで5日目まで固定しますが、耳のギプスは髪を下ろして隠していただいて、鼻のギプスはマスクで隠していただくと良いです。
ただ、プロテーゼのギプス固定の場合はマスクでは隠しきれません。
耳介軟骨移植のダウンタイムについては鼻の手術は基本的には1週間を見てもらっています。
ただ、プロテーゼの場合はもう少し長引く可能性があります。
鼻の軟骨移植などお考えの方に参考にしていただければ嬉しいです。